急に思い出したこと、で九二歩
それは1972年3月8日のことだった。所は文芸坐、映画を見終わって後方扉へ向かって行くと通路沿いの席に座っていた見知らぬ青年がいきなり声を掛けて来た。「▽▲さんですね?」ええ?!なんでわたしの名前を知ってるの?「この間、★☆のとこで・・・・」と小中高同窓で「一緒に机並べて」と冗談を言った友の名を挙げた。確かに★☆宅で何かの会が開かれ、彼の友人十数名が集まった。が、一向に覚えがない。話をしたのは左右2、3人の範囲なので離れた所にいたその人とは言葉を交さぬままだったらしい。近くのそば屋に座を移して話してみると★☆のクラスメイトと知れた。同窓生!
「今、大阪で働いているんです」「え、わたし、近々大阪へ行くんですよ、映画を見に」そして自主上映会の催されるホール名を告げると「そこなら上がホテルになってますから、そこに泊まるといいですよ」
なんと間のいいことか。この出遇いがなかったら、旅行なるものは一切しないわたしはとんでもなく遠いホテルを予約してしまったかもしれないのだ。その後お会いすることもなかったが、今に至るまで感謝している。わが人生二番目の幸運かもしれない。(笑うな)
その後、★☆に会った折、この話をすると「あいつ、高校卒業してすぐ就職したんだぜ。凄いだろ?」「うん、凄い」なんせ進学しない生徒がクラスに一人いるかいないかという学校だもんで初めから就職する人間がいるとは思いもよらなかったのだ。衝撃が大き過ぎて理由を訊きそびれた。家庭の事情だろうか?としたら、無念だろうな。同級生を見ていてこういう連中の巣窟には行きたくないと思ったか。一刻も早くつきたい職があったのか。しかも大阪。ひょとして家を出たかった?
そんな古いたまたまの出遇いの日付を何故覚えているかというと覚えてはいない。1964年からこの方、作品名、劇場名、日付を「ノートに書いとこ」しているからだ。文芸坐で見たのは「サムライ」「ギャング」大阪で見たのは1日目「ワイルド・バンチ」「ポイント・ブランク」2日目「スイート・チャリティ」
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